vol.5: guest:kiguma theme:交通事故

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guest:kiguma
theme:交通事故




kigumaさんご自身が書かれた、事故の詳細についてのレポートです。事故に遭わないのが一番だけれど、今後同じように事故に遭わないとも限らない。そういうときのためにご覧いただきたいということで、こちらで公開いたします。


 ***




1. 事故の経過


a. 09/24(金)

  i. 9:10 会社近くのコンビニで珈琲と水を買う

  ii. 9:20 会社へ向かう交差点で、赤信号で信号待ちをする

  iii. (記憶なし)

  iv. 9:45 病院内ERで、ストレッチャーの上で目が覚める

    1) 状況から交通事故に遭遇したと判断

    2) 両手両足を動かし、四肢に異常はない事を確認

    3) 医師からの報告

      a) ・交差点を横断時に、10トンの大型トラックにはねられた(らしい)

      b) ・外傷は、後頭部の裂傷(5針程度縫う)

      c) ・後頭部からは、かなり出血している。

      d) ・状況から見て、肋骨を骨折している。

    4) 携帯電話を車においている為、この時点で会社へ連絡が出来ない。

  v. 10:10〜 病院からの通報で、妻が病院へ。

    1) 彼女の携帯を借り、やっと会社へ連絡。状況説明と、とりあえず、本日分の指示と引き継ぎを行う。

    2) 警察担当者2名来訪

      a) 状況の説明は、医師の所見と同じレベル

      b) 詳しい状況と聴取については、後日、体がある程度回復した時点で、警察に来て欲しいとの事

      c) ※この時点での不安点

        i) ・事故の状況が不明な為、加害者と自分の過失割合が判断出来ない

        ii) ・もしかしたら、赤信号で渡ったのかもしれないという不安

    3) 加害者と加害者の運送会社に面会を求められるも、以下の不安点から面会を拒否

      a) 記憶がない、という事実を知らせる事はデメリットになる

      b) 客観的な状況判断を第三者(警察)から聞きたい

  vi. 11:00〜 レントゲン検査、CT検査 病室移動

    1) レントゲン検査とCT検査を行う

      a) 結果

         i) 左肋骨5本(全部で6本)骨折

        ii) 後頭部裂傷

      b) 所見

        i) 肺には多少血が見られるが、骨が刺さっている事はない

        ii) 後頭部の裂傷は、出血した事により、内出血等にならず、結果として、それが幸いした。

        iii) 状況から見て、ほぼ即死してた状況で、この怪我は奇跡的に軽いと言っていい。

    2) 病室へ

      a) 病室での所見

        i) 動いていない状況では、痛みがあまりない

        ii) ただし、以下の状態では、かなりの痛みを伴う

          One. 寝返り

          Two. ベッドからの起き上がり

          Three. くしゃみ

        iii) これにより、ベッドからトイレに行くのに、約30分を要する事になる。

      b) 食欲は普通にある。


b. 09/25(土)

  i. 加害者と運送会社の部長との面会

    1) 記憶がない状況を踏まえ、見舞だけを受け取り、状況報告は拒否する

  ii. 国勢調査員を担当していたので、その業務をどうするか、事務局と相談

    1) 結果、妻が代行として、国勢調査員を行う事になる

  iii. 加害者の加入保健会社担当者からの依頼

    1) 事故当時に破損した物のリストが欲しい。

    2) 事故当時に破損した物は、破損した状態で保管しておいて欲しい

    3) この時点で、破損していたもの

      a) 眼鏡

      b) シャツ(治療時に切断)

    4) 困っている事等の聞き込みをしたい為、自宅に帰ったら、訪問できる時間を作って欲しい


c. 9/27(月)

  i. 退院(入院3日)

    1) 肋骨の骨折は病院で行う処置が無いため、入院ではなく、自宅療養

  ii. 診断結果

    1) 全治2ヶ月の自宅療養

  iii. この時点での状態

    1) 起き上がり等の動作が困難な為、痛み止めは必要

    2) 心配していた自宅のベッドでは、低床のベッドである事も幸いして、起き上がりは病院より楽だった。

  iv. 仕事の状態

  v. 会社との協議

    1) 予定していた出張等は、11月末までの予定を全て代行で行う

    2) 11月末までの仕事の進行を以下のように行う

      a) 出張予定は全て代行をたてる。

      b) 10月末まで

        i) 午前中、自宅からVPNで、以下の処理を行う。

          One. 代行者への引き継ぎ

          Two. プロジェクトの進捗把握

          Three. 承認

        ii) 午後は睡眠

    3) 骨の場合、無理に動かすのが一番よくないので、1ヶ月はまったく動かず、治療に専念する。

    4) 11月は、状況を判断して、自宅からの執務時間を増やす


d. 9/28(火)

  i. 事故の状況がまったく不明で、警察との打ち合せも、いつになるか分からない為に、状況を客観的に把握する術を考える

  ii. 会社の車両保険の窓口へ相談

    1) 偶然会社の車両保険の会社が、加害者の保健会社と同じであった

    2) 会社の保健担当者を通じて、事故の状況が、保健会社の中で、どのように処理されているか探ってもらう。

    3) 結果

      a) 被害者は横断歩道を「青信号」で渡っていた

      b) 加害者の10トントラックは、被害者と同一の進行方向で、右折をしていた

      c) 横断中の被害者の、左後ろから、追突する形ではねた

      d) 過失責任は、加害者の100%

    4) この状況になり、やっと客観的な状況判断が出来、始めて安心する事が出来た。


e. 10/19(火曜日)

  i. 警察による事情聴取

    1) 現場の見解

      a) 被害者は横断歩道を「青信号」で渡っていた

      b) 加害者の10トントラックは、被害者と同一の進行方向で、右折をしていた

      c) 加害者は対向車待ちの停車をしておらず、35キロのかなり高速で右折。

      d) 前方を確認してなかった状態で、追突直前に被害者を視認。フルブレーキ

      e) ブレーキ跡は3.7メートル

      f) 被害者は、左後ろからバンパーに追突され右前方へ飛ばされ、後頭部を縁石で切り、出血

      g) トラックは交差点をくの字でふさぐ形で交通が混乱

      h) 事故時の四散した荷物は、コンビニの店員が回収。警察に通報

    2) 警察は状況判断はするが、過失割合は特定しない

      a) 過失割合を決定するのは保健会社

    3) 事故の加害者が、どのような罰則を受けるのか、被害者は知る手段がない


f. 10/25(火曜日)

  i. 保健会社担当者来訪

    1) こちらからの質問

      a) 事故関連の費用で、保証される範囲というものは法的に基準があるのか?

        i) 解答

          One. 保証される範囲は自賠責法というもので明確に決定されている

          Two. その範囲内で支払う事が出来る

        ii) 所見

          One. 自賠責を超える範囲を補う為の任意保険だが、保健会社は最初から、その範囲内で押さえるように誘導しようとしている

      b) 休業の保証はどうなるのか?

        i) 解答

          One. 保証されるが、自営業者で自宅勤務の場合、自宅での作業と生活の範囲の線引きが不明確である為、保証されない。

        ii) 所見

          One. この場合、あきらかに自営業者は関係ないが、これは、保証されない事例を最初に出して、保証される印象を加算しようという戦術と判断

    2) 全体での判断

      a) 被害者は多くの場合、交渉のプロではないが、保険会社はプロである

      b) 保証に法的な基準はなく、あくまでも保険会社の業界、社内基準

      c) 交通事故の時効は3年

      d) 一般的に、慰謝料等の精算は、示談後に行われる

      e) まとめると

        i) 胴元と、相手競技者が裏でつながっているギャンブルのようなもの

        ii) 判断のポールは全て保健会社にあり、どう転んでも、被害者の利益にならない

      f) この時点で、個人として保険会社と交渉する事は無駄と判断し、弁護士を立てる事に決定


g. 11/某日

  i. 弁護士との内容確認

    1) 保険料の基準には以下の2種類がある

      a) 保健会社基準

      b) 裁判所基準

    2) 裁判所基準の方が、保健会社基準より高い

    3) 一般人が交渉した場合、保健会社基準の2/3程度で納めようとする

    4) 弁護士をつける場合、裁判でするという決意の為、基準は裁判所基準になる

    5) この事故の場合、争点のない100%勝てる裁判の為、迅速に処理が進む

  ii. リハビリの開始と経過

    1) 11月中旬より、許可が出たので、ジムでのリハビリ開始

    2) トレーナーにメニューを組んでもらう

    3) トレーナーの所見

      a) 1ヶ月寝たきりの場合、心肺機能の低下が激しい

        i) (立っている状態でも心臓のポンプは鍛えられるが、寝ている状態だと、心臓の機能は最低限しか活動しない)

      b) 疲れやすい状況は、主に心肺機能の低下によるもの



2. 事故からの教訓


a. 交通ルールに関して

  i. 歩行者といえど、交通ルールの遵守は絶対

    1) 事故を直接防ぐ目的

    2) 事故後の自分を法的に守る目的

  ii. 自転車は車両なので、必ず過失責任は発生する。その状態で、交通ルールを守らないのは、非常に危険


b. 保健会社との交渉に関して

  i. 保健会社との交渉は、精神的、時間的、金銭的にコストが高く、得る物は少ない。

  ii. まずは客観的に判断する為に、自分の加入している保険会社の担当者に、事例を確認してみる

  iii. 被害者の場合、適用されると思われる、現時加入中の保健を全てチェックする

    1) 事故状況を書面にして、各保健会社担当者へファックス

  iv. 弁護士の起用を進める。まずは、市役所等で開催される「無料弁護士相談」を利用するのが良い

  v. 弁護士により、扱う、扱わないは分かれる(多くは、高い金額にならないため)

  vi. ただし、今回の事例では、弁護士にとって「確実で手離れの良い仕事」なので、扱う事務所は多いはず

  vii. 弁護士の雇用費用は、慰謝料のN%。

  viii. 個人的な感想では、たとえ、弁護士を立てた事による慰謝料の増加額が、弁護費用で相殺されたとしても、起用する価値はあると思う

  ix. 個人で交渉した場合、論理ではなく、感情論で交渉するすいいかないため、それはコストが高い

  x. 会社内、地域コミュニティーでの繋がりは重要

    1) それは「濃密につきあう」という事ではない。シンプルに「仕事をこなす事」

    2) 会社での役職や、コミュニティーでの理事会での仕事から、おそらく様々な関係者に信頼され、それが大きな助けになった